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2021年大学入試共通テスト解いてみた【世界史B】

仕事柄解かなくちゃいけないので

せっかくなので難易度などの分析も込みで

完全に個人の感想なので明確なデータ等の根拠は薄いです。

 

 

 

~以下、常体~

 

設問の解説と分析

 

第1問 資料と世界史

現役時代、センター試験の頃から、毎回世界史は大問のお題が結構面白いと思っている。

「タテの世界史(一つの地域について、時系列順に歴史を考える)」より「ヨコの世界史(複数の地域について、同時代の性質を考える)」

を重視するというのがブームになっているなかで、

一つのテーマに絞って、しかもそのテーマを「経済史」「政治史」みたいに硬いものにしないで、かつ複数地域の複数時代を同時に扱える大問設定は素晴らしいなという感想。

歴史を学ぶうえで「資料(あるいは史料)」は基本中の基本中。受験科目としての世界史と歴史学習を上手く結びつけようとしている出題者側の魂胆が分かる気がする。

 

A 司馬遷の『史記

国史で頻出の司馬一族のなかでも一番有名ともいえる司馬遷の『史記』は、編年体(歴史年表的な歴史書の書き方)に対して紀伝体(伝記みたいな感じの歴史書の書き方)をとっていることで有名。

 

問1 始皇帝は法家の李斯を登用したので③。秦は諸子百家のなかで法家(法律で国をまとめる政治思考)を登用して全国統一を達成した。

中国の前近代史のなかでは古代寄りだし聞いてることは簡単だけど初っぱなから文章読ませてくるし、秦と法家をセンターレベルの問題で結びつけさせるのは結構ハードだと思う。

 

問2 消去法で③。①古代中国の思想統制で有名な焚書・坑儒は医療・農業関係「以外」の書物を焼き捨てる命令。②エフェソスではなくコンスタンツ公会議。エフェソスの時はローマ皇帝キリスト教を公認している時代なので教皇の権力とかは問題になっていない。コンスタンツ公会議は「教皇権の衰退を食い止める」ためのもの。フスの火刑とかした。でも教皇権は戻らなかった。④マッカーシーアメリカ。

むずい。④は論外だとしても現代史、①は細かい記述をついてくるので間違い探しが難しい。②については個人的に受験生が苦手だと思っている中世ヨーロッパ史からややこしい公会議系の問題。まず公会議を時系列順に覚えるだけでなく、会議の結果起きた出来事と当時のキリスト教事情もセットでおさえるようにしないと解けない。

あと、世界史の間違い探しは細かく書いてあるものよりも「フワッとした記述だけど間違ったこと言ってなさそう」みたいな選択肢が正解だったりする。

 

問3 下線部で司馬遷は経済活動について言及しているので②。司馬遷前漢武帝の時代の人間だが、①の呉楚七国の乱は武帝の前。④の村落管理制度である三長制は北魏孝文帝の時代。③はあってるけど経済活動に関係ない。

「国家が物価統制すると、自由な経済活動ができなくなる」という当たり前と言えば当たり前のことを世界史に持ち込んでくるのは結構難しい気がする。でも「とりあえず経済関係のやつだろ~」という考えで選んで良いと思う。

 

B マルク=ブロック

大学の授業で扱った気がするけどクソ大学生だったのであんまり覚えていない。歴史学を専攻する人は抑えておくべきなのかもしれない。時代はフランス革命。得意な人にとってはこれ以上ないほど楽だけど苦手な人はとことん難しくなりがちなテーマ

 

問4 読めば分かる③。まず、文章の「1789年」に注目。フランス革命=1789年は覚えなきゃいけない。「俗人」とは聖職者ではない一般人ということ。革命直後で、村の資料という教会財産を国が没収したを選ぶ。ブロックは村の資料の保存状態が良いのはどういう場合なのかについて言ってるけど、上から「領主が聖職者の場合」「領主が亡命した俗人の場合」「領主が亡命していない俗人」の順に良いって言ってるからZを選ぶ。

難しいけど読めば分かる。もうマーク式の世界史の問題は問題文をちゃんと読まないと解けないものになっちゃった。

 

問5 亡命した俗人とは貴族のことなので④フランス革命の目的は聖職者と貴族の特権を排除すること。

正解して欲しい問題。

 

第2問 貨幣の歴史

割とありがちなテーマだと思う。

 

A イギリスの金貨鋳造量の推移

グラフを読ませる問題。知識重視から離れる教育改革の影響を世界史が受けた結果できた問題。難しいけど読めば分かる。詰め込めている人にとっては時間がかかってノイズだけど詰め込みが甘い人にとっては救済ともいえる。

 

問1 1776年以前の出来事は②。1776年より前の歴史上の出来事を選ぶ問題だが、それぞれの年号を覚える必要はない。②はアメリカ独立革命の契機となった事件。独立宣言は1776年と覚えておいて欲しいところではあるが、「アメリカ独立は18世紀後半」ぐらいでいい。①南米の独立運動はナポレオン以降。③ロシアとイギリスの中央アジアにおける植民地争い(「グレート・ゲーム」といったりする)は19世紀以降。「19世紀は帝国主義(=植民地主義)の時代」と覚えよう。④神聖同盟ウィーン体制を代表する語句。フランス革命は1789年だけ覚えておけばいい。

年号をピンポイントで聞く問題は、代表的な事件の年号とそれぞれの世紀の特徴をヒントに解こう。このレベルの問題ではそこまで細かい時期の差が問われることはない(個人的にそういうのは悪問だと思っている)。

 

問2 読めば分かる③。グラフ1からイギリスの金貨鋳造量が10年以上100万ポンドを下回ったのは1800年1810年代らへん。1800年~はナポレオン戦争にイギリスのネルソン提督が参戦しているので相手国はフランス。基本的にイギリスのライバルと言えばフランスなのでここは脳死で選んで良いと思う。グラフ2でその時期をみると紙幣の流通が増えているので、「紙幣をたくさん発行したから金貨を作らなくなった」と考えられる。

読めば分かる問題。

 

問3 ヴィクトリア女王はインド皇帝も兼任したので①。19世紀の帝国主義イギリスはヴィクトリア女王とともにあると言っていい。「ベル・エポック」という言葉も覚えておこう。

正解しておきたい。

 

B アジア貨幣

貨幣史で中国貨幣は絶対出る。中国貨幣を出したくて貨幣をテーマにすると言っても過言ではない。

 

問4 16世紀は明代後期なので③。内容は一条鞭法。紛らわしい②の地丁銀は清代なので18世紀。①日本は銀の生産地【石見銀山とかね)なので流入しない。④アヘン戦争は18世紀。

中国の各王朝が大体何世紀のものだったのか覚えておこう。「ヨコの世界史」理解の助けになる。

 

問5 秦の半両銭は青銅貨幣、元の交鈔は紙幣なので③。

覚えておいて欲しい。

 

問6 ケマル・アタテュルクの政策はトルコの近代化なので④。①③はイスラーム国家であるオスマン帝国について近代化、西欧化を図りトルコになるための政策。②については細かいが、WW1後これで領土を回復し、オスマン帝国はセーブル条約を改めてローザンヌ条約を結んでいる。

トルコ史は余り問われないが、ヨーロッパとアジアを結ぶ地域なのでこれから増えてきてもいいと思う。クルド人問題とかEU加入問題とか報道されないけど結構ホットなので。

 

第3問 ジャーナリズム

新鮮なテーマ。作品を絡めての出題は文化史の領域が入るので難しい問題が多くなりそう。

 

A 『デカメロン

さっそく文化史。Tierは高くないけどちゃんと勉強しよう。国立より私大受験生の方がその重要度は高い印象。

 

問1 デカメロン』の作者はボッカチオ、ルネサンス期の作品なので④人文主義すなわちルネサンス

コテコテの文化史だけど簡単な方。

 

問2 デカメロン』の題材はペスト、消去法で⑤。『デカメロン』はペストによって田舎に非難した貴族達が当時の社会をバチバチに風刺する作品。結構お下品なことでも有名。Xは文章から違うと判断できるし、ペストは東アジア由来の説が有力なのでZも違う。

難しい。ペストはモンゴル軍の襲来でヨーロッパに広まったとされる説が一般的であるが、知っている受験生は少ない気がする。入試問題作成者がどんな問題を作るかな、と考えて「感染症」に注目するのは容易く、また世界史において感染症といえばペスト一択なので、考えている受験生や世界史教育者はペストを深掘りしていると思う。こういう「記念史」的な読みは大事。

 

問3 消去法で②。①モンテ=カッシーノに開かれた修道会はベネディクトゥスのベネディクト修道会。修道院運動に感銘を受けたのはグレゴリウス7世。③クローヴィスはフランク王国。④ヘンリ3世に修道会に関する情報は薄い。基本的に修道会はカトリックの刷新運動なので、国教会のイギリスは無関係。

個人的に一番難しいと思う問題。修道会に関する問題は細かいうえに薄いので軽視されがち。現役時代に模試で出てきて戦慄した記憶がある。なんか知らんけど地味に出てくるので注意。

 

B ロシア革命運動

ロシア史も難しいテーマ。通史でメインになることが少ないけど死ぬほど重要なので。

 

問4 科挙儒教なので④。②③は有名、①は山川の教科書に書いてあったけど死ぬほど細かい内容。覚えてなくていい。

比較的やさしい間違い探し。

 

問5 ロシア革命の内容を示す組み合わせは②。まずスローガンから確定。ヴ「=ナロード」は知識人階級による農村への働きかけによって展開されたのでこの組み合わせ。文章の3行目の「露国」に入るのがなんとなく官僚かな?と判断してもいい気がする。

ロシア革命については少し複雑なので整理が難しい。

 

問6 農奴解放はアレクサンドル2世の代であり、また当時樺太・千島交換条約が結ばれたので③エカチェリーナ2世は18世紀後半、オスマン帝国からクリミア半島を奪い、またプガチョフの農民反乱を鎮めて農奴制を強化した。日本でいうと明治時代である樺太・千島交換条約はアレクサンドル2世の代、クリミア戦争後の疲弊したロシアでの出来事。農奴解放もその流れ。とりあえず「ロシアはエカチェリーナ2世の時代は強そうなことしてて、アレクサンドル2世の代はクリミア戦争後で弱いことしてる」と覚えておけばそれらしい選択ができる。

18、19世紀ロシアは皇帝と政治が目まぐるしいので難しい。ここはタテの世界史の使いどころだと思う。また、日本との関わりも参考になる。エカチェリーナ2世の時代は江戸時代で使節ラクスマンを送っている。

 

C ジョージ=オーウェル

オーウェルヘミングウェイとかと同じくスペイン内戦に参加している。

 

問7 常識的に①社会主義体制の中で思想統制が行われたのは①。②③は1950年以降、④は別に思想統制を表すものでもない

サービス問題。

 

問8 18世紀清朝の特徴から②。永楽大典は明、資治通鑑は宋代なので除外。「漢人

の表記が改ざんされているので②。清は満州人国家で漢人に異なる風俗を強制していた。辮髪とか纏足とか。

むずい。問題が何を言っているのか分からん、て人もいるかも。「18世紀」だけヒントにして「清」「漢人支配」というキーワードが結びつけられなくもない。

 

第4問 文書

なんか第1問と同じ感じじゃない?と思うかもしれないが、文書は条約内容や声明など公的な資料、といったニュアンス。つまり外交史や法制史の分野が入ってくる。

 

A 1878年ベルリン条約

近代ヨーロッパはWW1前あたりがややこしく学習が難しい印象。とにかく戦争と条約が多すぎる。他の単元よりタテの世界史とヨコの世界史を過不足無くこなさないといけない気がする。

 

問1 ベルリン条約についての内容は②ビスマルクの成果の一つであるベルリン会議で新たに結ばれた条約では、先の露土戦争でのサン=ステファノ条約の内容が破棄された。すなわち、戦勝したロシアの勢力拡大を阻止する目的で、ルーマニアを独立させたわけである。クリミア戦争でのパリ条約はギリシア独立がメイン。

ロシア史の難しいところであるバルカン半島関連。クリミア戦争ギリシア独立関連)→露土戦争ベルリン会議→WW1って感じで。

 

問2 ブルガリアに該当するのはbなので②。ベルリン条約でブルガリアオスマン帝国内の自治国になった。だがそんなこと知らなくてもOK。ベルリン会議はなんのために行われたのか。ビスマルクの意図は「ロシアの牽制=南下政策防止」。地図上で「スルタン陛下(オスマン帝国)の主権のもと」にあると対ロシアに有効なのは黒海に絡んでいるbの地域。

難しい。この時期のバルカン半島史は対ロシア牽制が理解のヒントになる。ちなみに日清・日露戦争あたりもロシア牽制が理解のミソ。

 

問3 。「あ」誤。ボスニア・ヘルツェゴビナを併合したのはオーストリア。「い」正。WW1の発端。

WW1までの間のイタリアは統一間もないので目立った動きはないと考えよう。実際大戦中も立場をコロコロ変えてる。

 

B 日中共同声明

パンダ外交という言葉があるように、パンダは中国外交の一端を担っている。動物園のパンダは契約上借りているらしい。クソ大学生の僕と同じようにゴロゴロしているだけなのに、パンダは僕よりずっと国の役に立っている。

 

問4 常識的に①。資料Z「極東」からウは少なくともインドではないことは分かると思う。

サービス問題。

 

問5 中ソ→日米→日中の順なので③。まず冷戦下で東側陣営になる中ソが友好関係に。ニクソン・ショック、すなわちニクソン訪中は陣営が違うはずの米中の共同声明が目的。そのうえでアメリカのお膳立ての結果、日中共同声明がとられる。

なんとなく「中国がアメリカと仲良くなる前に日本と仲良くなるはずないよなあ」と思っておけばいいと思う。

 

問6 中華人民共和国共産党で東側陣営なので②。①古い。③朝鮮戦争時、中国(共産党)はソ連北朝鮮側を支援。④文化大革命はまだ。

正解しておきたい。

 

C 英領インド

南アジア史、すなわちインド史は地域史の中でもTierが高い方だと思う。前近代は中国、近現代はイギリスと当時の覇権国家(学問的にはヘゲモニーって言うらしいです)と密接な関わりがある。よく出るテーマ。

 

問7 サンスクリット文学は『シャクンタラー』なので①。ルバイヤート』はウマル=ハイヤームの詩集なのでアラビア語。資料から読み取れる事柄はW。ややこしい日本語訳だけどちゃんと読めば西洋は東洋より良いって言ってる(西洋の本棚一つ分がインド・アラビア文献の全部に相当するらしい)。

クソみたいな邦訳なので読みづらいがちゃんと読めば分かる。

 

問8 読めば分かる③。会話文からムガル帝国ではペルシア語と土着語が話されていたとあるので英語は使われていない。また、ムスリム仏教徒についての言及は一切無いので選んではいけない。英語教育を施したいと言っているのに稙民地支配下の村落の帳簿では非英語が使われてたとあるので間接統治が判断できる。

知識ゼロでも読めば解ける。

 

問9 タージ・マハル建設はシャー・ジャハーン代なので②。妻の陵墓。金使いすぎでアウラングゼーブがキレた。①タミル語南インドのドラヴィダ系言語で紀元前からある。③東南アジアのやつ。④ティムールの代、サマルカンド天文台のこと。

割と細かめの知識問題。

 

第5問 旅行史

個人的には汎用性があってありだと思うテーマ。イブン・バットゥータとかエリトゥラー海案内記とか出ると思ってた。もっとちゃんと旅行してた。

 

A ヨーロッパ旅行

広すぎるテーマ。何でも出せる。

 

問1 サルディーニャ島についての記述なので①。トルコ語が明確な間違い。トルコ語は近代化の過程でできたトルコ共和国独自のもの。文法が簡単らしい。

難しいがなんとなくで解ける問題だと思う。

 

問2 ブリテン島についての記述なので①。万博や博物館、紅茶からイギリスだと判断。空欄アはフランスが入り、14~15世紀にかけての戦争は英仏百年戦争が該当する。そこにはフランドル地方のをめぐる対立が背景にあった。

難しいがヒントはいっぱいある。難しいけど。

 

問3 古代ローマの拡大はイタリア半島ギリシャブリテン島なので②サルディーニャ島はイタリアと考える。ギリシャのポリスを支配下においた後、ケルト系民族まで支配した。

イタリアスタートで拡大させていけば解けそう。

 

B 韓国旅行

朝鮮史もシビアだが頻出の地域史。近いからね。

 

問4 朝鮮の摂政大院君についての記述なので④。朝鮮近代史は鎖国から始まる。戦わない「和」を主張するのは売国とDisってるので抗戦姿勢をとっている。

読めば分かるがちょっとむずかしい。

 

問5 朱子学についての記述なので②。①は道教、③は仏教、④王重陽が開祖の全真教は道教の革新であり、儒・仏・道の混合スタイル。

難しい。まず朝鮮では朱子学が官学であることもそこそこ細かいが、王守仁も細かい用語。①と④が一緒で③が明らかに違うから判断できるだろうか。できないかも。

 

問6 壬午軍乱→甲申事変→甲午農民戦争の順なので①日清戦争前史は頻出なので抑えておきたい。壬午軍乱は大院君派が閔氏勢力を殺害、日本公使館を襲撃したけど清軍に鎮圧された事件、甲申政変は日本の助けを得て急進改革派が閔氏政権を倒した政治変動。

知っていればサービス問題。

 

所感

センター試験より順当に難化していると思う。

  • グラフや文章を読んで解かせる問題が増え、いわゆる「クイズ」ではなくなった
  • 現代史の増加

といったような要因がある

一方で、難しい用語知識を要求されているかというとそんなことはないので、

世界史が「知ってれば秒で解ける問題」から「細かく知らなくても考えれば解ける問題」に変わっていくんだろうなという印象。

自分が現役だったときにこの変わり方だったら嫌だなと思うが、

本質的にみたら別に納得のいく改革だな、という感じ。

来年度もこの難易度から大きく変わることはないと思う。

 

~以下、敬体~

ここまで読んで下さってありがとうございました。勉強される方は参考にして下さい。

 

質問→@hakidamepoke